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◆土地を仮装売買した場合について(虚偽表示)
事例)
AはBと協議の上、自己の土地を譲渡する意思がないのにBに売り渡す仮装の売買契約を行った。
         A→仮装売買→B
その後Bはその土地上に
建物を建築し善意無過失のCに建物を賃貸した。 この場合、AはCに対して、A・B間の売買契約の無効を主張できるか?
 できる。
土地と建物は民法上は別個独立のものとされ、この場合の建物賃借人Cは民94条2項の第三者に該当しないから。

上記の事例で、BがA・B間の売買が仮装であることを知っている
D(悪意者)に土地を売却し、さらにDは善意のEに売却した。AはEにA・B間の売買の無効を主張できるか? A→仮装売買→B→D(悪意)E(善意)
 できない。
悪意の第三者からの
転得者Eが善意であれば転得者Eは民94条2項の第三者に該当する。

上記の事例でBがA・B間の売買が仮装であることを知らない
D(善意者)に土地を売却し、さらにDは悪意のEに売却した。AはEにA・B間の売買の無効を主張できるか?  A→仮装売買→B→D(善意)E(悪意)
 できない。 
この場合
が絶対的、確定的に権利を取得することになり、転得者Eが悪意であってもAはにA・B間の売買の無効を主張できない。


◆車を冗談で売るといった場合について(心裡留保)
鈴木さんが本当は売るつもりがないのに、山田さんに「私の車を君に100万円で売る」という意思表示をし、山田さんは承諾した。鈴木さんが冗談で言っていたということが誰から見ても明らかにわかるような場合でも、山田さんは車を買い受けることができるのか?(この契約を有効とすることができるのか?)
できない。 
鈴木さんが真意でないことを知りながら為した意思表示は、有効であるのが原則だが、山田さんが鈴木さんの真意を知っていた場合、または注意をすれば鈴木さんの真意を知ることができた場合はその意思表示は無効となる。(民93心裡留保)


◆法定代理人が複代理人を選任した場合について
 子Aの法定代理人であるBが、やむを得ない事由により復代理人Cを選任した。この場合、Bは本人Aに対して責任を負う場合はあるのか?
 ある。 
法定代理人がやむを得ない事由により復代理人を選任した場合には、その選任、監督についてのみAに対して責任を負う。(民105)


◆権限がないのに代理人と称して売買契約をした場合について
事例)
Aさんは権限がないのに、真木さんの代理人と称してCさんとの間で真木さん所有の宝石を売却する契約を締結した。
真木さん━A無権代理人⇔真木さんの宝石を売る契約を勝手にした⇔C

この場合、Cさんは宝石を即時取得(所有権を取得)することができるか?
できない。
無権代理人であるAさんが処分行為をした場合には、その相手方Cは即時取得できない。

 上記の事例において、 本人である真木さんがAさんに対して
追認(Aさんが勝手に契約したこと認める)の意思表示をした場合、Cさんがそのことを知らなかったときは、CさんはAさんに対してこの売買契約を取り消すことができるか?
 できる。 
真木さんはAさんに対して追認の意思表示をしているが、Cさんがその追認の事実を知らないため、Cさんはこの売買契約(Aの無権代理行為)を取り消すことができる。(民113)


◆債権者の意思のみにかかる解除条件について
 鈴木さんは山田さんに「君に自動車を贈与するが、もし俺の気が変わったときには返してもらう」という条件付の契約をした。こういう契約は有効か?
 有効。 
この契約は
解除条件付のものであり、その条件が債権者(鈴木さん)の意思のみにかかる場合だから。(民134) →補足。停止条件付の場合で、債務者の意思のみにかかる場合は、無効となり結論が違ってくる。


◆時効完成後に借金を支払ってしまったら・・・
事例)
山田さんは金田さんに100万円を借りていたが、この債務につき時効が完成した。しかし、その後、山田さんは時効が完成したことを知らないで、30万円を金田さんに支払った。又、佐藤さんは山田さんの債務を担保するために自己の土地に抵当権を設定している。
 この場合、山田さんは(債務者)は時効を援用することができるか?
 できない。 
山田さんが時効が完成したことを知らなかったとしても、時効を援用することができない。

上記の事例において佐藤さん(物上保証人)は時効を援用できるのか?
できる。  
時効完成後の物上保証人は消滅時効を援用できる。(民145) →補足。もし、山田さんが時効の完成前に30万円を支払っていた場合となると、佐藤さん(物上保証人)は時効中断の効力を否定できないことになり結論が違ってくる。


◆主たる債務者が債務の承認をした場合の連帯保証人の時効について
 山田さんは金田さんに100万円を借りた。佐藤さんは山田さんの債務の連帯保証人である。山田さんは30万円を金田さんに支払った(債務の承認)。この場合、時効中断の効力は連帯保証人である佐藤さんに対しても及ぶか?
 及ぶ。
主たる債務者である山田さんに対する時効の中断は、保証人に対してもその効力を生ずる。
時効の中断→債権は10年経つことによって時効により消滅するが(時効の完成)、”時効が中断する”とは、その進行がストップすることをいう。上記の例で言うと、山田さんが30万円を金田さんに払ったことで時効の進行はストップする。そのためそこからまた10年経たないと借りたお金はチャラにならない。(民167)

◆質権者が質草を盗まれた場合
宝石(動産)の質権者であるAがその宝石をBに盗まれた。この場合、Aは質権に基づいて宝石の返還請求ができるか?
 できない。
動産質権者が質物の占有を失うと、質権の対抗力を失うため、質権に基づいて宝石の返還を請求することはできない。→補足。占有回収の訴えにより返還を求めることは可能。(民353)


◆賃借建物が不法に占拠されてしまったら・・・
 山田さんは藤原さん所有の建物を賃借しているが、まだ引渡しを受けておらず、まだそこには住んでいない。この状況において悪山さんがこの建物を不法に占拠してしまった。この場合、山田さんは悪山さんに対して直接建物の明け渡しを請求できるか?
 できる。 
山田さん(賃借人)は建物所有者である藤原さん(賃貸人)に代位して(代わって)、不法占拠者に対して建物の明け渡しを直接請求できる。(民423)


◆土地の時効取得後に第三者が所有権を主張してきた場合
事例)A所有の土地を善意無過失で10年間使用していたBが時効によりその土地を取得した。Bの取得時効が完成した後、CがAから土地の贈与を受けた。Cはまだ登記はしていない。
 Bもまだ登記をしていないが、この場合BはCに対し、土地の所有権を対抗できるか?
できない。
この場合BとCは対抗関係となるため、登記を備えていないBは時効による所有権の取得をCに対抗できない。

 上記の事例において、BがCよりも先に登記を済ませていた場合はどうか?
 BはCに所有権を対抗できる。


◆土地の時効取得前に第三者が所有権の登記をしていた場合
事例)A所有の土地を善意無過失で10年間使用していたBが時効によりその土地を取得した。Bの取得時効が完成する前に、CがAから土地の贈与を受けCは登記を済ませていた。

 Bはまだ登記をしていないが、この場合BはCに対し、土地の所有権を対抗できるか?
 できる。
時効完成時の所有者Cと時効取得者Bは当事者の関係だから、Bは登記がなくてもCに所有権の主張をすることができる。


◆登記をしていない先取特権について
事例)
AはBに対して一般の先取特権を有しているが、Bが所有する不動産にその登記をしていない。
 この場合Aはその先取特権をもって特別担保を有していない他の債権者C(普通の一般債権者)に対抗することができるか?
 できる。

 上記の事例において、Aはその不動産について登記をしている抵当権者Dに対抗することができるか?
 できない。 
登記のない一般の先取特権者Aのために登記を備えている抵当権者らの地位をくつがえすことは不動産取引の安全を害することになるから。(民336)


◆順次売買があった後、売買契約が取り消しとなった場合の権利関係は?
事例)土地がAからBへと売買され、その後BからCへと売買された。
未成年者A→B→C
 土地がCに売り渡された後、未成年者Aは、制限能力者を理由にA.B間の売買契約を取り消した。この場合AはCに対して土地の所有権を主張できるか?
 できる。 
Cは取り消し前の第三者であるが、制限能力者Aの保護を図る必要があるから

 上記の事例でAが制限能力者であることを理由にA.B間の売買契約を取り消したが抹消の登記は行っていない。その後、Bは土地をCに売り渡し登記も済ませた。この場合AはCに対して土地の所有権を主張できるか?
 できない。 
Cは取り消し後の第三者である。AとCは対抗関係となり、Aは登記を備えたCに対して所有権を主張できない。

 上記の事例で土地が善意のCに売り渡された後、AはBの強迫を理由にA.B間の売買契約を取り消した。この場合AはCに対して土地の所有権を主張できるか?
 できる。 
Cは取り消し前の第三者であるが、強迫の場合はAの保護の必要性が大きいため。

 上記の事例でAはBの強迫を理由にA.B間の売買契約を取り消したが抹消の登記は行っていない。その後、Bは土地をCに売り渡し登記も済ませた。この場合AはCに対して土地の所有権を主張できるか?
 できない。
Cは取り消し後の第三者である。AとCは対抗関係となり、Aは登記を備えたCに対して所有権を主張できない。


◆看板が台風により飛んでしまった場合について
 A宅にあった頑丈に備え付けられていた看板が台風により、B宅の庭に飛んでいってしまった。そのためBは精神的な苦痛をしいられた。この場合BはAに対して占有保持の訴えにより看板の撤去請求と、損害賠償の請求ができるか?
 看板の撤去は請求できるが、損害賠償は請求できない。 
占有保持の訴えにより損害賠償を請求するには相手方に故意または過失がなければならない。この場合、台風により看板が飛んだため、Bに故意、過失があったとはいえない。


◆善意占有者の果実取得について
 Aは倉庫にあった自転車を自分のものであると信じて占有していた。そしてその自転車をBに賃貸し賃貸料500円を受け取った。しかしその自転車は実はC所有のものであったため、CはAが受け取った賃料500円を自分に返せといってきた。AはCに500円を返さなければならないのか?
 返さなくてよい。 
善意の占有者は、占有物から生じる果実(賃料など)を取得できる。Aはその自転車を自分のものであると信じていたので、善意の占有者である。 (民189)


◆賃貸人の承諾を得て増改築した場合について
 AはBから建物を賃借した。そしてその建物の増改築をBの承諾を得て行ったが、増改築部分が建物の構成部分となっている。この場合、賃借人Aは増改築部分について所有権を取得するか?
 取得しない。 
他人が権原によってそのものを附属させた場合には、その物の所有権は不動産の所有者(B)には帰属しないとされる。つまりAの所有となる。しかしこれは弱い附合の場合に限られ、強い符合の場合には、他人が権原によってそのものを附属させた場合であっても、所有者(B)が取得することになる。(民242)
強い符合→たとえば建物にベランダを付ける工事をした場合など、建物から切り離すことが容易でない場合のことをいう。ベランダを建物に付け加える工事をした場合のベランダはもはや別個独立のものとはいえないので、強い符合となり、ベランダの所有権はBのものになる。

◆他人の持分を勝手に売却したら・・・
 AとBは甲土地を共有しているが、AがBの持分についても自己の単独の所有に属するとして、Cに売却してしまった。この場合A,C間の売買契約は有効か?
 有効 
B持分については他人物売買となり、この売買契約は有効に成立する。(民560)


◆通行地役権を設定していた土地が売買されたら・・・
 Aは隣接するB所有の甲土地に通行地役権(甲土地を通行する権利)を設定していたが、その後Bは甲土地をCに売り渡した。甲土地にはAのための通行路が作られており、その通路は誰が見てもAが通行するために使用していることが明らかな作りとなっていた。 Cも甲土地を購入する際に、「おそらくこれはAが使用している通路だろう」という気持ちがあったが、売主であるBからは何も聞いていなかったので、知らないふりをしていた。 Aは通行地役権の登記を行っていないが、この場合、AはCに対して通行権を主張できるか?

 できる。 
Cへの譲渡の時に、甲土地(承役地)に継続的に通路として使用されていることが物理的、客観的に明らかであり、Cもそのことを認識することが可能であったため。尚、この場合はCがたとえ通行地役権が設定されていることを知らなかったとしても、Aは登記なくして主張できる。(判例 平成10年2.13)


◆代価弁済
 AはBに対して500万円を貸している。Aはこの債権を担保するためにBが所有する甲不動産に質権を設定する契約をした。 その後Bが甲不動産をCに400万円で売却したが、CがAの請求に応じて売買代金400万円をAに支払った。この場合甲不動産に設定された質権は消滅するか?
 消滅する。不動産質にも抵当権の代価弁済の規定が準用される。(民377)


◆失踪宣告の7年の期間満了前に財産を処分したら・・・
不在者の生死が7年間明らかでないときには家庭裁判所は利害関係人の請求によって失踪宣告をすることができる。 妻Bの失踪宣告がされた後、7年の期間満了より前に、妻Bがすでに亡くなっていると思われる状況があったので、夫Aは妻Bの財産を処分した。この売却行為は有効か?
 有効とはならない。
7年の期間満了前においては妻Bはまだ死亡したものとはみなされないから(民30条)

◆失踪宣告後、7年の期間満了後に、死亡したとみなされた者が帰ってきたら・・・
妻Bに失踪宣告がされた後、7年の期間が満了し、妻Bは死亡したものとされた。そのため夫AはBの財産を相続したが、その後妻Bが家に戻ってきた。この場合夫Aは相続により取得した妻Bの財産を返さなければならないのか?
 返さなくてよい。「失踪宣告の取り消し」がない限り、妻Bの死亡の効果はそのまま存続することになるから。
○失踪宣告、失踪宣告の取り消し、いずれも検察官は請求権者ではない。

◆死亡したとみなされた者が帰ってきたので、失踪宣告の取り消しをしたが、その者の財産がすでに第三者に渡っていたら・・・
妻Bに失踪宣告がされた後、7年の期間が満了し、妻Bは死亡したものとされた。そのため夫Aは妻Bの財産を相続したが、その後妻Bが家に戻ってきた。そこで夫Aは失踪宣告の取り消しを請求した。しかし、妻Bの財産はすでに善意のCに譲渡していた。 この場合Cは妻Bの財産を返さなければならないのか?
 返さなくてよい。 
この場合、財産を譲渡した当時、Cも夫Aも(当事者双方とも)善意であったため、Cは返す必要はない。もし、どちらか一方が悪意の場合には返さなければならないと考えられる。(民32条)

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